Appleが、今年初めに発表した同社の最も野心的な複合現実(MR)プロジェクトである初代Vision Proヘッドセットの生産を終了したと報じられています。アメリカのテクノロジーニュースサイト「MacRumors」によると、同デバイスは生産削減と需要の減少に直面しており、生産が停止された可能性があるとのことです。
課題と需要の低迷
Vision Proは、3499ドルという高価格と限られたコンテンツエコシステムが原因で、広範なユーザー層を惹きつけることができなかったと言われています。AppleのCEO、ティム・クック氏はこのデバイスを「早期採用者向けの製品」として位置付け、一般市場よりもテクノロジー愛好者向けであると説明していました。しかし、そのニッチ市場でも需要は予想より低く、Appleは複合現実分野における戦略を見直していると報じられています。
生産削減と在庫管理
MacRumorsの報道によると、Appleは2024年の初夏からVision Proの生産を減少させ始め、10月にはアセンブラーのLuxshareが1日あたり1000ユニットの生産を行うにとどまり、ピーク時から50%減少したとされています。そして、11月にはAppleがLuxshareに対して生産を完全に終了するよう指示したとのことです。同社は、2025年までの需要に対応するために、約50万〜60万台の在庫を確保しているとされています。
これらの生産削減にもかかわらず、Appleは過剰な在庫を避けるための戦略を取っており、倉庫には何万台もの未出荷のコンポーネントが保管されていると報じられています。
より手頃な価格のMRヘッドセットへのシフト
Vision Proの課題に対応するため、Appleはより手頃な価格の複合現実(MR)ヘッドセットの開発に注力しているとされています。供給業者には、この低価格デバイスの生産のために最大400万台の準備を依頼しており、これにより価格競争力のある製品を提供することが期待されています。生産目標は初代Vision Proの半分程度になる見込みです。
また、第二世代Vision Proの開発は少なくとも1年間は停止されているとのことですが、MacRumorsによると、初代モデルに対する限定的なデザイン変更や、M5チップの搭載、インテリジェンス機能の強化などの更新が施されたバージョンが、2025年後半または2026年初頭に発表される可能性があるとされています。