サムスンは先週、新たなフラッグシップスマートフォン「Galaxy S25」シリーズを発表した。この発表の中心にあったのは、人工知能(AI)の進化だ。特に、Googleが開発した「Gemini AI」モデルが大きくフィーチャーされており、サムスンのスマートフォンにおけるAI戦略の変化が感じられる。
GoogleのGemini AIを採用、Bixbyは後退か?
サムスンは従来のAIアシスタント「Bixby」についてほとんど言及せず、今後はGemini AIが主導権を握ることが予想される。Galaxyシリーズのホーム画面左側のパネルに長年表示されていたBixbyが、単なるアプリの1つに格下げされる可能性もある。
新しいS25シリーズの購入者には、「Gemini Advanced」が6カ月間無料で提供される。一方、GoogleのPixelユーザーは1年間の無料利用が可能であり、サムスンユーザーにとってはやや不公平に感じられるかもしれない。
また、サムスンは「Oxford Semantic Technologies」と提携し、「Knowledge Graph」技術を活用してユーザーのデータ関連性を強化。これらの技術は、サムスン独自の「Personal Data Engine」に統合され、同社のセキュリティ技術「Knox」によって保護される。さらに、デバイス内の大規模言語モデル(LLM)が、ユーザーに対してクラウドリソースを使用する必要があるかどうかを警告する機能も搭載される。
カメラ性能の進化 ー AIによる最適化
Galaxy S25シリーズのもう一つの注目点はカメラ性能の向上だ。
S25では、超広角レンズのセンサーサイズが従来の12MPから50MPに強化され、より高画質な撮影が可能になった。センサーサイズの拡大により、光の取り込みが増え、ノイズが減少することで、よりクリアな写真が撮影できる。
しかし、望遠レンズや標準レンズの画素数に大きな変化はなく、ズーム性能の向上は主にソフトウェア処理によるものと考えられる。
特に注目すべきは、AIを活用した「Best Face」機能で、グループ写真の中で最適な表情を選択し、自動的に合成することが可能となった。また、AIで生成された画像には「C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)」の基準に基づく識別マークが付与されることで、生成AIによる画像と実際の写真を区別できるようになる。
動画撮影においては、プロ向けの「LOGビデオ」撮影に対応し、より細かい色補正が可能に。また、内蔵マイクのノイズキャンセリング機能も強化され、クリアな音声録音が可能となっている。
環境配慮 ー 再生素材の使用とリサイクルプログラム
Galaxy S25シリーズでは、環境負荷を低減する取り組みとして、バッテリーにリサイクルコバルトを使用することを発表。また、フレームの一部に再生アルミニウムを採用している。ただし、サムスンはより積極的にリサイクルプログラムを拡充する必要があり、現時点では「グリーンウォッシング(環境配慮をアピールしながら実態が伴わないこと)」の懸念も残る。
ただし、同社は1月に新しい下取りプログラムを発表し、使用済みのスマートフォンの回収・分解・リサイクルを促進する方針を示している。
発売日と今後の展開
サムスンは、Galaxy S25、S25 Plus、S25 Ultraの発売日を以下のように発表した。
- 主要市場(米国、日本、韓国など):2月7日
- その他の市場(例:トリニダード・トバゴ):2月21日
Galaxy S25シリーズは、AIの強化、カメラ性能の進化、そして環境配慮を軸に進化を遂げた。しかし、急速に進化するAI技術の中で、サムスンの戦略がどこまで成功するかは今後の展開次第だ。