米Nvidiaは、中国向けに最新Blackwellアーキテクチャを採用した新型AIチップ「B30A」の開発を進めている模様です。
関係筋2名によると、この新チップは現在販売が許可されているHopper世代の「H20」よりも高い演算性能を持つものになるといいます。
なお、米国政府による輸出規制の厳格化が続く中で、最終的に販売が承認されるかどうかは未定となっています。
この情報は、Reutersが報じました。
■ 新チップ「B30A」はシングルダイ構成を採用
報道によれば、新モデル「B30A」は、NvidiaのフラッグシップGPUであるB300(デュアルダイ構成)よりも半分程度の生演算性能を持つシングルダイ構成を採用。
主要パーツを1つのシリコン上に集約することで、規制の枠内に収めつつ高性能を維持する狙いがあるとされています。
また、「H20」と同様に
- 高速HBMメモリ
- NVLinkによる高帯域データ転送
にも対応するとみられています。
■ 来月にも中国企業向け試験出荷の可能性
チップ仕様はまだ最終決定ではないものの、Nvidiaは早ければ来月にも中国企業向けにサンプル出荷したい意向だとされています。
Nvidiaは次のようにコメントしています。
「政府が許可する範囲内で競争力を維持できるよう、さまざまな製品を検討しています。提供するすべての製品は適用法令の承認を得たうえで、商業目的のみに設計されています。」
■ 輸出規制を巡る米中のせめぎ合い
米国政府は、高度なAIチップが中国に渡ることに強い警戒感を示しており、販売許可が下りるかどうかは依然として不透明です。
一方で、Nvidia側は中国市場を維持しなければHuaweiなど競合製品への切り替えが進むとして、一定の性能を持った製品供給を続ける必要性を強調しています。
現在、中国はNvidia売上高の約13%を占めており、同社にとって極めて重要な市場となっています。
今後、「B30A」が正式に承認されるのか、それとも米規制により販売が見送られるのかが大きな焦点となります。
米中の技術覇権を巡る動きが激化する中、Nvidiaの次の一手に注目です。