東芝、最新650V SiC MOSFETを3製品発表 ― データセンターやEV充電器向けに高効率化を実現
産業機器向けに最適化された第3世代SiCチップ搭載
東芝エレクトロニクスヨーロッパは、新しい第3世代SiC MOSFETチップを採用した650Vシリコンカーバイド(SiC)MOSFETを3製品(TW027U65C、TW048U65C、TW083U65C)発表しました。これらは表面実装型TOLLパッケージを採用し、産業機器におけるスイッチング損失の低減を実現しています。
新製品はサーバーやデータセンター、通信機器のスイッチング電源(SMPS)、無停電電源装置(UPS)、EV充電ステーション、太陽光発電用インバータのパワーコンディショナなど幅広い用途に対応可能です。
パッケージ設計で80%以上の体積削減
リード挿入型パッケージと比べ、TOLLパッケージにより体積を80%以上削減。これにより機器の電力密度向上に直結します。また、表面実装に対応することで寄生インピーダンス部品(抵抗やインダクタ)の小型化を実現し、さらにスイッチング損失を抑制します。
9ピン・4端子構造を採用したTOLLパッケージは、ゲートドライブ用のシグナルソース端子にケルビン接続を使用可能にし、ソース配線インダクタンスの影響を最小化。これにより高速スイッチング性能を実現します。
大幅な損失低減と優れた性能
代表製品のTW048U65Cは、TO-247パッケージ品と比較してターンオン損失(Eon)を約55%削減、ターンオフ損失(Eoff)を約25%削減しました。さらに最適化されたドリフト抵抗とチャネル抵抗比により、動作条件の広範囲で安定したオン抵抗(RDS(on))を維持。
また、低い**RDS(on) × ゲート・ドレイン電荷(Qgd)**により性能をさらに向上させています。
多様な回路設計に対応
- 定格耐圧(VDSS):650V
- ゲートソース電圧範囲(VGSS):-10V~25V
- ゲートしきい値電圧(Vth):3.0V~5.0V
これらの特性により、さまざまなゲートドライブ回路との互換性が確保され、回路設計を簡素化。また高いドレイン電流(ID)定格を備えており、厳しい条件下でも信頼性の高い動作を実現します。
産業機器の効率化を加速
東芝の最新SiC MOSFETは、高効率・高信頼性・高電力密度を兼ね備え、データセンターやEVインフラ、再生可能エネルギー分野の効率化に大きく貢献することが期待されています。