マイクロソフトが英国、オーストラリア、インドネシア、米国の複数地域におけるデータセンター拡張計画を見直していることが報じられた。ブルームバーグによると、一部のプロジェクトは延期または撤退の決定がなされたという。
AI需要とデータセンター戦略の見直し
マイクロソフトはOpenAIとの提携を通じて商用AI分野をリードしているが、同社のデータセンター投資の縮小はAIサービスとクラウドコンピューティングの需要に対する不透明感を示している可能性がある。特に、AI関連のサーバー需要が当初の想定ほど伸びていないとの見方もある。
同社は、2025年6月期までにデータセンター関連で800億ドル(約12兆円)を投資するとしているが、次の会計年度では新規建設よりも既存施設の強化にシフトする計画だと述べている。
影響を受ける主なデータセンター計画
- 英国:ロンドンとケンブリッジの間に計画されていたNvidia向けAIデータセンター用地の交渉から撤退
- 米国:シカゴ郊外のデータセンター案件を断念、ノースダコタ州の施設開発も遅延
- インドネシア:同国のデータセンターキャンパス建設を減速
- ウィスコンシン州:33億ドル(約5,000億円)の投資計画は継続
AIインフラの再編と市場の動向
最近、中国のAI企業DeepSeekが少ない計算資源で高性能なAIを開発したことや、OpenAIがオラクルやソフトバンクと新たな提携を進めていることが、AI市場の構造変化を示唆している。マイクロソフトもこうした動向を踏まえ、リソース配分を調整している可能性がある。
業界専門家は「AI・クラウド市場の長期的な成長が疑問視されているわけではなく、戦略的な最適化の一環」と分析。マイクロソフトは引き続きインフラ投資を行うものの、より柔軟な計画へと移行しているとみられる。
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