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ウィスター研究所、膠芽腫向け新しい免疫療法の開発に成功

脳の MRI スキャンの白黒写真。(画像提供: 国立がん研究所、Unsplash)
脳の MRI スキャンの白黒写真。(画像提供: 国立がん研究所、Unsplash)

ウィスター研究所のデビッド・B・ワイナー博士率いる研究チームが、最も致死率の高い脳腫瘍である膠芽腫に対する新しい治療法を開発しました。この革新的な免疫療法である**トリスペシフィックT細胞エンゲージャー(DTriTE)**は、Journal for ImmunoTherapy of Cancerに発表された研究で、前臨床試験において生存期間の延長と腫瘍負荷の軽減という顕著な成果を示しました。

主な研究成果

膠芽腫は、自然な免疫抑制特性と遺伝的多様性により、従来の治療法に対して非常に抵抗性を持つ難治性の癌です。特に、膠芽腫抗原の多様性が免疫療法の効果を制限するため、新しい治療法の開発が求められてきました。

ウィスター研究チームは、DNAベースのデリバリーメカニズムでエンコードされたトリスペシフィック抗体「DTriTE」を設計しました。この抗体は、膠芽腫特異的抗原であるIL-13Rα2EGFRvIIIを同時に標的にしながら、T細胞を活性化するCD3タンパク質とも結合します。このアプローチにより、抗原が異なる膠芽腫腫瘍に対しても、T細胞が効果的に反応できるようになります。

研究のハイライト:

  • 多様性への対応: DTriTEは、腫瘍を排除するためのT細胞やナチュラルキラー(NK)T細胞を同時に活性化します。
  • 長期的な効果: 前臨床モデルでは、DTriTE治療を受けたモデルの66%が腫瘍抑制と生存期間の延長を達成しました。これは他の治療法を上回る成果です。
  • 腫瘍回避の防止: 複数の抗原を標的にすることで、腫瘍が治療を回避するメカニズムを防ぐ可能性があります。

今後の展望

ワイナー博士は、この治療法の幅広い可能性について次のように述べています:
「この新しいトリスペシフィック抗体の設計は、膠芽腫だけでなく、他の免疫抵抗性の癌に対しても有望です。既存の治療を妨げる腫瘍の回避メカニズムを防ぐ可能性があります。」

研究チームは、DTriTEの設計をさらに改良し、免疫療法が効果を示さなかった他の癌種への応用も目指しています。

なぜ重要なのか

膠芽腫の5年生存率は5%未満であり、新しい治療戦略の必要性が切実です。この革新的なアプローチは、より効果的な治療法への道を開き、この侵攻性の高い癌に苦しむ患者に希望をもたらす可能性があります。

詳細は、Journal for ImmunoTherapy of Cancerに掲載された研究論文「Novel tri-specific T-cell engager targeting IL-13Rα2 and EGFRvIII provides long-term survival in heterogeneous GBM challenge and promotes antitumor cytotoxicity with patient immune cells」をご参照ください。

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