日本の半導体関連株が月曜日に大きく売られました。この急落の背景には、中国のAIスタートアップDeepSeekが最新のAIモデルを発表し、米国の技術優位性が揺らぐとの懸念が広がったことがあります。また、先週のソフトバンクグループによるAI投資計画(出典)を受けたハイテク株の上昇後の利益確定売りも影響しました。さらに、ナスダック先物の下落も市場心理を冷やす要因となりました。
半導体・AI関連株が軒並み下落
DeepSeekの躍進による影響を受け、日本の半導体関連企業の株価は大きく値を下げました。
- アドバンテスト(Nvidia向け半導体装置メーカー)➡ 8.2%安
- ディスコ(半導体製造装置)➡ 3.3%安
- ソフトバンクグループ(先週16%急騰)➡ 6.28%安
- データセンター向けケーブルメーカー
- 古河電工➡ 8%超安
- フジクラ➡ 8%超安
先週は、日本のテクノロジー株がソフトバンクグループのAI投資計画を受けて急騰しました。しかし、DeepSeekの新モデル発表による競争激化の懸念が広がり、売りが加速しました。
Ortus Advisors Pteの日本株戦略責任者アンドリュー・ジャクソン氏は、Bloombergに対し、
「本日の下落はDeepSeekの影響によるものだが、その実際の影響度を測るのは難しい。明らかに過熱していたフジクラや古河電工は大きく値を崩している。」
と述べています。
DeepSeekの台頭—米国のAI優位性に迫る中国の挑戦
中国のDeepSeekは、低コストかつ高性能なAIモデルを次々と発表し、米国のAI覇権に対抗する動きを見せています。
🔹 昨年12月:わずか2カ月で開発し、**600万ドル(約9億円)のコストで無料のオープンソース大規模言語モデル(LLM)**を発表。
→ MetaのLlama 3.1、OpenAIのGPT-4o、AnthropicのClaude Sonnet 3.5をベンチマークで上回る
🔹 先週:最新の推論モデル**「r1」**を発表。
→ OpenAIの最新「o1」モデルを超え、数学・コーディング・問題解決能力で優位
DeepSeekの最大の強みは、米国のハイエンドチップに依存せずに高性能AIを開発できる点です。米国の輸出規制対象であるNvidia H100ではなく、制限のないH800を用いながらも競争力のあるモデルを生み出すことに成功しました。
この進展は、シリコンバレーのAI投資戦略にも影響を及ぼしています。米国のAI企業は数十億ドル規模の資金と大規模データセンターを投入していますが、DeepSeekはそれより遥かに低コストで競争力のあるAIを開発しているため、今後のAI市場競争の構図が変わる可能性があります。
マイクロソフトCEOも警鐘—「中国AIの進化を真剣に受け止めるべき」
DeepSeekの躍進は、**世界経済フォーラム(ダボス会議)**でも話題になりました。
マイクロソフトCEO サティア・ナデラ氏は、DeepSeekの技術力を評価し、
「中国のAI開発は非常に重要であり、真剣に受け止める必要がある」
とコメントしています。
まとめ:DeepSeekの影響で市場は動揺—日本株にも波及
DeepSeekの最新AIモデルは、米国のAI市場に新たな脅威をもたらし、日本の半導体・AI関連株の急落を引き起こしました。今後、米国政府の対応や、Nvidia・OpenAIなどのAI企業の戦略転換が市場に影響を与える可能性があります。