Appleが中国のOppoと元社員を訴訟へ
米Appleは2025年8月、元Apple Watchチームのエンジニアである程仕(Dr. Cheng Shi)氏と、中国のスマートフォン大手Oppoおよびその米国法人Innopeakを相手取り、機密情報の不正持ち出しを理由に訴訟を起こしました。訴えはカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に提出されています。
機密情報の不正ダウンロード疑惑
Appleによると、程氏は2020年1月から2025年6月までAppleに勤務し、Apple Watchの心電図(ECG)センサーや温度センサーを含む健康センサー技術の開発に深く関わっていました。同氏は退職の直前、社内の共有ドライブから63件の極秘文書をUSBに保存し、その内容には未発表製品の仕様やセンサー技術の詳細設計が含まれていたとされています。
また、同氏の検索履歴には「MacBookを消去する方法」や「共有ドライブのファイルを開いたことを他人が確認できるか」といった内容が残っていたとAppleは主張しています。
Appleのカスタムチップ開発にも影響か
さらに訴状では、程氏がAppleの自社製チップ開発チームの情報も持ち出したと記載されています。AppleはMac、iPhone、iPad向けに独自のシリコンチップを設計しており、近年はAI専用チップの開発も進めており、ティム・クックCEOのAI戦略に直結する重要分野とされています。
Oppoの動きと市場背景
Oppoは中国やアジア市場で高いシェアを持つスマートフォンメーカーで、かつてApple Watchに酷似した製品を発売したことで注目を集めました。Appleは2024年に中国市場でトップ5から転落しましたが、2025年5月にはiPhoneの販売が中国で首位に返り咲いたと Reutersの報道 が伝えています。
一方、Oppoは米国内での販売は行っていないものの、シリコンバレーに研究拠点を構えており、Innopeak名義でも活動しているとされています。
退職前の不審な行動
Appleは、程氏が退職前に33件もの1対1の会議を設定し、その多くが自身の担当外プロジェクトだった点も指摘。さらに、退職理由について「中国に戻り両親の介護をする」と説明しながら、実際にはOppoに就職していたとしています。
Appleの求める措置
AppleはOppoに対し、自社の機密情報を利用することを禁じる差止命令を求めるとともに、損害賠償および補償を裁判所に請求しています。
出典:ギズモード