日本のテック企業、アフリカ農業と医療にAIと資金を投資
日本からアフリカへの新たな投資潮流
アフリカにおけるベンチャーキャピタル投資が減速する中、日本のテクノロジースタートアップや大手企業が静かに新たな資金源として存在感を示し始めています。特に気候変動の影響を大きく受ける農業や医療分野において、AIと資金を組み合わせた戦略的な支援が拡大しています。
その象徴的な動きが、アグリ・フィンテック企業 Degas Limited(ディーガス) によるものです。同社は今後4年間で1億ドル(約147億円)を投資し、ガーナをアフリカ初の「AI農業ハブ」へと変革する計画を発表しました。この発表は、第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)にて行われたもので、単なる資金提供に留まらず、衛星画像、精密農業、AI駆動型融資を組み合わせた包括的なアプローチで食料安全保障に取り組むものです。
Degasがもたらす変革
Degasはすでにガーナで成果を上げており、これまでに8万6,000人の小規模農家に対し、12万2,000エーカーの農地を対象に資金支援を実施。AIによる衛星監視とリアルタイム農業アドバイス、金融サービスを組み合わせることで、農家の収入を倍増させ、95%という高いローン返済率を実現しています。
Degasの投資拡大計画には以下が含まれます:
- AI支援型融資:小規模農家への信用供与を拡大
- 衛星による作物モニタリング:リアルタイムデータで農業判断を支援
- 精密農業サービス:土壌改善と収穫量最適化
- サプライチェーン統合:市場・物流・保管との連携強化
さらに、この取り組みには日本の大手企業も参画。双日株式会社はDegasへの投資だけでなく、衛星画像解析用の生成AIモデルを開発中です。この「地理空間基盤モデル」は、さくらインターネットのGPUクラウドを活用し、天候予測や災害予測、収穫量予測を可能にする基盤を構築しています。
医療分野でも加速する日本発スタートアップの存在感
農業にとどまらず、日本のスタートアップはアフリカの医療分野でも注目を集めています。2025年5月、東京拠点の SORA Technology はシード後期ラウンドで480万ドル(約7億円)を調達。ガーナやケニアを含む6カ国でドローンとAIを活用した医療インフラを展開しており、マラリア対策のためにドローンによる蚊の駆除や、気候データを基にした感染症予測を行っています。
今後は日本のVC(ニッセイ・キャピタルやSMBCベンチャーキャピタル)支援のもと、15カ国への拡大を計画中。気候変動適応と公衆衛生を結びつける事業モデルで、持続可能な医療インフラを構築しています。
日本資本が支えるアフリカの次世代インフラ
この潮流はアフリカ全体で広がりを見せています。米国企業である Zipline は、ガーナやルワンダ、ナイジェリアなどで100万件以上の医薬品配送を行い、アフリカの医療サプライチェーンの中核を担っています。その成功を支える一員がトヨタ通商であり、日本の物流ネットワークが重要な役割を果たしています。
日本の資金とテクノロジーが融合することで、アフリカの農業・医療インフラはこれまでにないスピードで進化しつつあります。DegasやSORAの事例は、その最前線を示していると言えるでしょう。
出典: techinafrica.com