アドビ(Adobe Inc.)は、競合するOpenAIのSoraサービスと比較して、AIビデオツールの導入が遅れていることに対する懸念に直面しています。アドビは今年10月、プロンプトや画像からビデオを生成できるブラウザベースのツールを発表しましたが、現時点では限定的なテスト段階にあり、特定のクリエイターにしかアクセスできません。
一方、OpenAIのSoraはすでに広く公開されており、アドビはその遅れを取り戻す必要があります。
限定ベータ版と進行の遅さ
アドビのAIビデオツールは現在、限定的なベータ版として提供されており、フィードバック収集とモデルの安全性確保に注力しているとしています。ユーザーはアドビのウェブサイトから待機リストに登録でき、アクセスは段階的に広がる予定です。
さらに、アドビは動画編集アプリ「Premiere」に、生成AIを使ってビデオクリップを延長する機能を追加しました。ツールの広範な提供は今後数ヶ月内に予定されていますが、現時点ではアクセスは制限されています。
OpenAIのSora、フルリリース
アドビがテストを続けている一方で、OpenAIはSoraモデルをChatGPTの有料ユーザー向けに今週フルリリースしました。これは、技術の初公開から約10ヶ月後のことです。しかし、Soraの完全リリースには一部技術的な問題も発生し、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は、需要の予測を大幅に誤ったことを認めています。
AIによる競争とアドビの課題
OpenAI、Midjourney、Runway AIなどのスタートアップがAIによる写真やビデオ生成ツールを提供する中、アドビの対応には注目が集まっています。アドビの株価は今年8.3%下落しており、AI技術がもたらす可能性のある影響に対する投資家の懸念が反映されています。ミズホ証券のアナリスト、ジョーダン・クライン氏は、「AIを利用した新しいビデオやコンテンツ生成エンジンが、アドビの市場シェアを奪うリスクが残っている」と述べています。
アドビは自社のAIビデオモデルを「商業的に安全なもの」と位置付けており、専門家向けのワークフローへの統合に焦点を当てていますが、競合が急速に成長している現状はアドビにとって大きな課題となっています。