Googleは、スマートフォンやPCに代わる次世代コンピューティングプラットフォームの一環として、最新のスマートグラスのプロトタイプを披露しました。この発表は、**2025年に開催されたTEDカンファレンス(TED 2025)**で行われ、GoogleのAndroid XR責任者シャラム・イザディ氏とプロダクトマネージャーのニシュタ・バティア氏が登壇しました。
今回披露された拡張現実(AR)グラスには正式名称はまだなく、透明なガラスにグラフィックを重ねて表示できる極小ディスプレイが搭載されています。スマートフォンと接続して動作し、Googleの生成AI「Gemini」と深く統合されています。
ステージ上でイザディ氏は、ペルシャ語から英語へのリアルタイム翻訳や書籍のスキャンなどの機能を実演。これにより、Googleが自社で高性能なスマートグラスを設計・開発する上で着実に前進していることが明らかになりました。なお、製品のリリース時期については現時点で発表されていません。
各社がARグラス市場へ進出、Googleも再挑戦へ
スマートグラス市場を巡っては、ここ数年で数十億ドル規模の投資が行われており、シリコンバレー各社がしのぎを削っています。2023年9月にはMetaのマーク・ザッカーバーグCEOがARプロトタイプ「Orion」を披露し、Snapのエヴァン・スピーゲルCEOも第5世代Spectaclesを発表しています。
GoogleにとってARグラスへの取り組みは今回が初めてではありません。2013年には「Google Glass」を発売したものの、当時は技術的・社会的課題が多く普及には至りませんでした。Microsoftも2015年にHoloLensを発表しましたが、2016年の開発者向け出荷時点では初期のデモほどのインパクトはありませんでした。
Appleについては、ARグラスを開発しているかは不明ですが、2024年に3,500ドルの複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」を発売しています。技術的には画期的である一方、市場の反応は控えめでした。
市場投入にはなお時間が必要
今回のGoogleによるデモは、AR技術の進化とスマートグラスの可能性を示すものでしたが、実際の製品化にはまだ時間がかかる見込みです。コスト面や製造技術の課題が残っており、一般消費者向けに手頃な価格で提供するにはさらなる進歩が求められます。
それでも、TED 2025で披露されたGoogleのスマートグラスは、スマートフォン以降の新たなコンピューティング時代の幕開けを予感させるものであり、今後の展開に注目が集まっています。