ヨーロッパ連合(EU)は、TikTokのアプリ設計がユーザーを長時間利用させやすい構造になっているとして、改善を求めました。これは、ネットの「中身」だけでなく、「仕組みそのもの」を規制しようとする新しい動きの一つです。
なぜEUは問題視しているのか
EUは、TikTokが「使いすぎやすい構造」になっている点を問題視しています。
特定の動画や投稿内容ではなく、アプリの作りそのものが対象です。
EUの考えでは、TikTokはユーザーが自分の意思よりも長く使い続けてしまうような設計になっており、特に若い世代への影響が大きいとされています。
EUの法律では、大型プラットフォームは「人の行動や生活への影響」を考え、安全対策を取る責任があります。TikTokはその対策が十分ではないと判断されています。

問題とされている主な機能
EUが注目しているのは、次のような仕組みです。
無限スクロール
動画が止まらず、次々と自動で表示されるため、区切りがありません。
自動再生(オートプレイ)
動画が自動で再生されるため、操作しなくても見続けてしまいます。
おすすめ機能(アルゴリズム)
好みに合わせた動画がどんどん表示され、見続けやすくなります。
通知(プッシュ通知)
頻繁な通知が、アプリを何度も開かせる仕組みになっています。
これらは一つ一つ見ると普通の機能ですが、組み合わさることで「やめ時が分からない構造」になっているとEUは考えています。
デジタルサービス法(DSA)とは
EUが使っている法律が**デジタルサービス法(DSA)**です。
この法律は、ネット企業に次のような責任を求めています。
- ユーザーへの悪影響を調べること
- 問題があれば対策を取ること
- システムの仕組みを分かりやすくすること
- 安全を意識した設計をすること
つまり、「違法な投稿を消す」だけでなく、「アプリの作り方そのもの」も責任の対象になります。
TikTokの立場
TikTokはEUの主張に反対しています。
「すでに使用時間管理機能や保護機能がある」とし、設計が有害だという意見には同意していません。
これは、世界中で起きている構図でもあります。
政府は「人への影響」を重視し、企業は「サービス設計の自由」を主張しています。
若い世代にとっての意味
18〜30歳の世代にとって、TikTokは娯楽・情報・交流の場です。
生活の一部になっている人も多いでしょう。
多くの人が経験していること:
- 気づいたら長時間スクロールしている
- 「少しだけ」のつもりが止まらなくなる
- 通知で何度もアプリを開いてしまう
EUの動きは「ユーザーが悪い」という話ではなく、
アプリの構造そのものが人の行動を変えているという考え方に基づいています。
変更される可能性のある点
EUの判断が正式に認められた場合、次のような変更が求められる可能性があります。
- スクロールに区切りを作る
- 休憩を促す表示を強化する
- 自動再生の制限
- おすすめ機能の調整
- ユーザーが設定を管理しやすくする仕組み
TikTokが使えなくなるわけではなく、使い方が変わる可能性があるということです。
世界的な流れ
この問題はTikTokだけの話ではありません。
世界中で、SNSやアプリの「設計そのもの」に注目が集まっています。
これからの規制は、
「何が投稿されているか」だけでなく、
「どうやって人を使わせ続ける構造になっているか」
に焦点が移っています。
まとめ
EUがTikTokに設計変更を求めたことは、デジタル規制の方向性が変わってきていることを示しています。
コンテンツの問題だけでなく、アプリの構造・仕組み・設計が社会に与える影響が問われる時代になっています。
これは、若い世代が毎日使うデジタル空間が、
「便利さ」だけでなく「健康的な使い方」も意識して作られる方向へ進んでいることを意味しています。





