Qualcomm、Arduinoを買収へ — AI・エッジコンピューティング開発者支援を強化
オープンソース開発基盤を持つArduinoがQualcomm傘下に
米Qualcomm(クアルコム)は、イタリアのオープンソースハードウェア企業Arduino(アルドゥイーノ)を買収する計画を正式に発表しました。
取引額は明らかにされていませんが、この買収によりQualcommはエッジコンピューティング、ロボティクス、AI開発市場での存在感を一層強化する狙いです。
Arduinoは、学生からスタートアップまで幅広い開発者に親しまれているプラットフォームであり、世界で3,300万人以上のユーザーコミュニティを持ちます。
出典: Qualcomm公式発表
「エッジからAIまでをつなぐフルスタックプラットフォーム」を構築
Qualcommは声明の中で、「先進的な製品と技術」をArduinoの「シンプルさ、低コスト、そしてコミュニティ」と融合させることで、
ハードウェアからソフトウェア、クラウドまでを包含する**“フルスタックプラットフォーム”**を構築すると説明しています。
同社はこれまでにも、AI開発支援企業Edge Impulseや組込みOSプラットフォームFoundries.ioを買収しており、
今回のArduino買収はその戦略の延長線上にあります。
「Foundries.io、Edge Impulse、そしてArduinoを迎えることで、我々はAIとコンピューティング技術へのアクセスを民主化し、
世界中の開発者が革新的なソリューションをより迅速かつ効率的に開発できるようにする」と、
Qualcomm TechnologiesのAutomotive, Industrial & Embedded IoT部門ゼネラルマネージャーNakul Duggal氏は述べています。
Arduinoブランドは継続、他社製チップのサポートも維持
買収後もArduinoは独自ブランドのもとで事業を継続し、
これまでのツール・製品・コミュニティ主導の方針を維持することが発表されています。
また、他の半導体メーカー製マイクロコントローラやプロセッサのサポートも継続するとのことです。
Arduino CEOのFabio Violante氏は次のように述べています。
「Qualcomm Technologiesとの連携により、我々の掲げるアクセシビリティとイノベーションの追求をさらに加速させることができます。
新製品『UNO Q』の登場はその第一歩に過ぎません。これからはAI開発を誰もが直感的に行える世界を実現します。」
共同創業者のMassimo Banzi氏も、
「我々の情熱は常に“シンプルさとコミュニティ”にありました。Qualcommと共に、最先端のAIツールをすべての開発者へ届けることを目指します」とコメントしています。
開発者コミュニティの“オープン性”は維持されるのか?
世界的な開発者コミュニティの間では、「Qualcommによる買収でArduinoのオープン性が失われるのではないか」という懸念も上がっています。
これに対し両社は、オープンソース精神とアクセス性を維持すると強調。
Qualcommの支援のもと、Arduinoは引き続き誰もが参加できる開発エコシステムを提供していく方針を示しました。
出典: TechRepublic