Metaは2025年6月、自社の次世代複合現実(Mixed Reality, MR)ヘッドセット「Meta Quest 4」を正式に発表しました。
2023年に登場したQuest 3から約2年ぶりのフルモデルチェンジとなる本機は、デザイン・処理性能・空間認識・AI体験のすべてにおいて進化を遂げています。
■ 超薄型設計と大幅な装着感の改善
Meta Quest 4では、これまでのヘッドマウントディスプレイに比べて約40%の薄型化に成功。パンケーキレンズ第2世代の採用により、前面の厚みが大幅に抑えられ、よりバランスの取れた装着感が実現されています。
重さもQuest 3よりも約70g軽量化され、片手でも持てるほど軽いヘッドセットとなりました。これは長時間の使用時における首や肩への負担を大幅に軽減するため、作業やフィットネスアプリとの相性も良好です。
■ Qualcomm XR3+ Gen 2チップ搭載で飛躍的な性能向上
ハードウェア面では、最新のQualcomm Snapdragon XR3+ Gen 2チップを搭載。
このSoCは、前世代比でCPU性能が約30%、GPU性能が約50%、AI処理性能が80%以上向上しており、重いグラフィック処理や複数アプリの同時起動も可能になりました。
また、RAMは12GB、ストレージは256GB〜1TBまで選択可能。Wi-Fi 7やBluetooth 5.4にも対応しており、超低遅延でのストリーミングや、外部デバイスとの連携もよりスムーズです。
■ 空間AIとの連携による新しい体験
Meta Quest 4は、**Meta AI(空間認識型AIアシスタント)**を標準搭載。
これにより、従来の音声操作に加え、以下のような機能が実現しています:
- 目線とジェスチャーでアプリ起動やウィンドウ操作
- 現実空間内の物体との連動(机を“認識”して自動配置)
- タスク管理やメモ、リマインダーを空中パネルに表示
- 仮想モニターを最大5枚まで常時配置可能
- AIによる自動通訳、資料要約、リアルタイム検索
これらの機能により、仕事、学習、娯楽の全てをヘッドセット上で完結する“ポータブル空間OS”としての役割を担うようになっています。
■ ゲーム・エンタメ・フィットネスにおける拡張性
MetaはQuest 4と同時に、150以上のMR対応アプリのローンチを発表。
Beat Saber、Asgard’s Wrath II、Half-Life: Alyxなど人気タイトルはすべて最適化され、解像度やフレームレートもアップ。さらに、VRChatやWorkroomsといったソーシャル体験もより自然な動作が可能となっています。
Quest Moveとの連携では、心拍・消費カロリーのリアルタイム表示も対応し、フィットネスデバイスとしての用途も拡大中です。
Meta Quest 4 の主な仕様:
● ディスプレイ:デュアルMini LED(片眼2064×2208 / 120Hz)
● プロセッサ:Snapdragon XR3+ Gen 2(AIエンジン搭載)
● RAM / ストレージ:12GB RAM / 256GB〜1TB
● トラッキング:インサイドアウト6DoF / ハンドトラッキングV3 / アイトラッキング
● 通信:Wi-Fi 7 / Bluetooth 5.4
● バッテリー:最大2.5時間、USB-C急速充電対応
● 重量:約470g
● OS:Meta Horizon OS(Androidベース)
● 対応プラットフォーム:SteamVR / Oculus Store / Mixed Reality SDK対応
● カラー展開:チャコールブラック / ミッドナイトブルー
■ 没入型デバイスの“日常化”が始まる
Meta Quest 4は、エンタメの枠を超えて、ワークスペースや生活支援ツールとして活躍するデバイスに進化しました。
従来のVRデバイスとは一線を画し、AIと現実空間の融合によって、“使えるMR”という新しいカテゴリーを築いています。
2025年後半、MR市場の中心に立つデバイスとして、Meta Quest 4の存在感はさらに拡大していくでしょう。