任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」が発売されてから、すでに8年。累計販売台数は同社史上最多を記録し、スマートフォンの普及で衰退すると予想されていた携帯型ゲーム市場を見事に再興させました。
しかし、技術の進化が早いゲーム業界において8年は長すぎるとも言われています。ついに任天堂は、後継機「Nintendo Switch 2」を発表。2025年6月の発売が予定されており、一部のメディアに先行体験の機会が与えられました。
新ハードへの移行はリスクも伴う
新型ハードの発売には常にリスクが伴います。Switchが成功しすぎたがゆえに、多くのゲーマーが次の一手を注視している中で、「Switch 2」がその期待に応えられるかが注目されています。
2017年の初代Switchは、前世代機「Wii U」の失敗からの巻き返しという“アンダードッグ効果”も追い風となりました。発売時に『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』という傑作ソフトを用意し、低価格かつ据え置き・携帯両対応の柔軟さで市場を席巻。インディーから大手まで幅広いタイトルが揃い、「あつまれ どうぶつの森」「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」などのヒット作も続出しました。
Switch 2は「現代的な性能」と「新たなソーシャル要素」を搭載
Switch 2では、前モデルと異なり最新のハードウェア構成を採用。NVIDIAと共同開発したカスタムチップは、初代Switchの約10倍のグラフィック性能を持ち、AIによる画像補完(DLSS)やリアルタイムレイトレーシング(RT)にも対応します。
画面も高性能化され、120Hzの可変リフレッシュレートに対応したフルHD液晶を搭載。可変フレームレート技術(G-Sync)により、滑らかなゲームプレイが可能となっています。ポータブル機としては驚異的な性能です。
さらに、オンライン機能も大幅に強化。家族とのゲーム共有や音声・ビデオチャット機能が標準搭載(USBカメラは別売)される予定で、パンデミック期にDiscordなどでのコミュニケーションに依存していたユーザーにも新たな選択肢を提供します。
キラータイトルと過去作の“アップグレード戦略”
Switch 2のローンチタイトルとして発表されたのは、『マリオカート ワールド』と『ドンキーコング バナンザ』。どちらも任天堂らしい遊び心と革新性にあふれ、短時間の試遊でもクオリティの高さがうかがえました。
また、任天堂はSwitchで販売した14億本超のソフト資産を活かし、旧作に追加コンテンツや高性能化パッチを施した「有料アップグレードプログラム」も導入予定。これにより、旧作ファンも新ハードへスムーズに移行できます。
ドック接続時のパフォーマンスも向上
Switch 2は、付属のドックを通じてTV接続時に最大4K・60fps、または1080p・120fpsの出力に対応。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『メトロイド プライム4』の新バージョンは、美しい映像表現でプレイヤーを魅了しました。
ファンを内蔵したドックによる冷却も強化されており、高負荷時の安定したパフォーマンスが期待できます。
最大の課題は「バッテリー持続時間」
これだけ高性能な仕様を携帯型に詰め込んだ結果、懸念されるのがバッテリー持続時間。特に120fpsで動作するタイトルや、重い3Dグラフィックを要するサードパーティ製ソフトでは、消費電力が懸念材料です。
任天堂製タイトルは比較的効率的に動作する傾向がありますが、『エルデンリング』や『ファイナルファンタジーVII リメイク』といった大作タイトルが、どこまで滑らかに動くのかは注目ポイントです。