近年、高度なスパイウェアの台頭がデジタルプライバシーとセキュリティにおける大きな懸念となっています。イスラエルのNSO社が開発したスパイウェア「ペガサス」は、ジャーナリストや企業経営者、政府関係者などの重要人物を対象とした攻撃で世界的に注目を集めています。しかし、iVerify社の最新調査によると、この脅威はもはや有名人や高い地位にある人々だけの問題ではなく、一般のスマートフォン利用者にも広がっている可能性が示されています。
スパイウェア感染率に関する懸念
iVerifyの報告によれば、1,000台中2.5台のスマートフォンでスパイウェア感染が確認されました。この感染率は過去の研究と比較しても非常に高いとされています。この2,500台の感染デバイスの多くは、従来は「標的」とみなされない一般ユーザーのものである可能性があるといいます。
感染のタイムラインは複雑で、2023年後半のiOS 16.6、2022年11月のiOS 15、さらには2021年と2022年に使用されていたiOS 14および15にも感染が確認されています。さらに、AndroidとiOSの両プラットフォームで5種類のマルウェアが検出され、診断データやクラッシュログ、シャットダウンログを通じてその痕跡が確認されました。
スパイウェアの脅威の変化
この調査結果は、スパイウェアがこれまで考えられていたような特定のエリート層だけを狙うものではなくなりつつあることを示しています。iVerifyは、この感染率は一見すると小規模に思えるかもしれませんが、「モバイルセキュリティにとって重大な警告」であり、スパイウェアツールの利用可能性が広がっている兆候だと指摘しています。
「我々の調査では、1,000台中2.5台という高い感染率が確認されました。これはこれまでに公開された報告を大きく上回るものです」とiVerifyは述べています。また、「これら2,500台のデバイスは、高度なスパイウェアのターゲットになりやすい層を代表していると考えられます」と付け加えています。
スマートフォン利用者に求められる対策
この報告書は、すべてのスマートフォンユーザーに対して警戒を呼びかけています。スマートフォンが突然シャットダウンしたり、予期せぬクラッシュが発生したりするなど、異常な挙動に注意を払うことが重要です。また、iVerifyが提供するようなスパイウェア検出ツールを利用することも推奨されています。
スパイウェアがより広く利用されるようになり、そのターゲットが無差別化する中、個人デバイスを保護することはプライバシーとデータを守る上で不可欠です。この報告書は、誰もがサイバー監視の進化する脅威から無縁ではないことを改めて示すものとなっています。