SNSは、1つのアプリの中で投稿し、その中だけでフォローされる場所から、サービスをまたいでつながる Social Web へ少しずつ変わり始めています。Fediverse では、ActivityPub などのプロトコルを使い、別々のサーバーやサービスにいるユーザー同士がフォロー、返信、いいね、共有を行えます。これは、ブランド、クリエイター、メディアにとって「どのSNSに投稿するか」だけでなく、「どこまで相互接続されるか」を考える時代の始まりです。
Fediverseとは何か
Fediverse は、federated universe の略で、独立したSNSサーバーやサービスが共通プロトコルでつながるネットワークです。代表例として Mastodon が知られていますが、Fediverse は Mastodon だけの話ではありません。Threads、WordPress、Flipboard、Ghost、Pixelfed など、複数のサービスが ActivityPub 対応や連携を進めています。
W3CのActivityPub仕様では、ActivityPub は分散型ソーシャルネットワーキングプロトコルであり、コンテンツの作成・更新・削除に使う client-to-server API と、サーバー間で通知やコンテンツを届ける server-to-server API を提供すると説明されています。つまり、投稿やフォローを1つの会社のアプリ内に閉じ込めず、複数サービス間で流通させるための仕組みです。
Threads連携が注目される理由
Open Social が現実味を帯びた理由の1つが、Meta の Threads です。Meta Engineering はThreads has entered the fediverseで、18歳以上かつ公開プロフィールのThreadsユーザーが、ActivityPub対応サーバーへ投稿を共有できるようになったと説明しています。さらに、他サーバーのユーザーはThreadsプロフィールをフォローし、投稿にいいね、返信、リポストできます。
また、Meta Newsroom はThreadsのfediverse機能強化として、専用のfediverseフィードとfediverseユーザー検索を追加したと発表しています。これにより、Threads上からMastodonやWordPressなど、別サービスの投稿者を見つけやすくなっています。
ブランド発信はどう変わるか
これまで企業やメディアは、X、Instagram、TikTok、Facebook、LinkedIn などに個別最適化して投稿してきました。各プラットフォームのアルゴリズム、投稿形式、フォロワー数、広告メニューに合わせることが中心でした。
しかし Open Social が進むと、投稿やフォロワー、コメント、コミュニティがサービスをまたいで流通する可能性があります。ブランドは「1つのSNSで伸びる投稿」だけでなく、「複数の場所で発見される投稿」「プラットフォームを超えて会話される投稿」を考える必要があります。
特にニュースメディア、個人クリエイター、自治体、B2B企業、専門コミュニティにとっては重要です。アルゴリズム変更に左右されにくく、独自ドメイン、ブログ、ニュースレター、RSS、ActivityPub対応アカウントを組み合わせることで、直接つながれる発信基盤を作りやすくなります。
BlueskyとAT Protocolも見るべき理由
Open Social の議論では、Fediverse / ActivityPub だけでなく、Bluesky と AT Protocol も重要です。Bluesky は ActivityPub とは別の AT Protocol を使う分散型SNSで、ユーザーがプロバイダーを移動しやすく、見たいフィードを選びやすい設計を目指しています。研究論文Bluesky and the AT Protocolでは、Bluesky は複数の相互運用可能なプロバイダー、ユーザーの選択権、コンテンツ表示への主体性を重視して設計されていると説明されています。
つまり、今後のSNSは「1つの勝者が全部を持つ」よりも、複数のプロトコル、複数のコミュニティ、複数の発見経路が並ぶ可能性があります。ブランド運用では、ActivityPub と AT Protocol の違いを理解しつつ、自社に合う発信基盤を選ぶことが重要になります。
見るべきKPI
Open Social 時代のSNS運用では、フォロワー数だけでは不十分です。次のようなKPIを見る必要があります。
| 視点 | 見るべきポイント |
|---|---|
| Audience portability | 特定プラットフォームだけにフォロワーを依存していないか |
| Cross-platform reach | Threads、Mastodon、Bluesky、ブログ、ニュースレター間の流入 |
| Community ownership | 独自ドメイン、メールリスト、RSS、ActivityPub対応の有無 |
| Trust & safety | モデレーション方針、コメント管理、なりすまし対策 |
| Content workflow | 1つの投稿をSNS、ブログ、ニュースレターへ展開できるか |
18〜30歳の読者にとっても、この変化は身近です。好きなクリエイターやメディアが、1つのSNSをやめても別の場所で見つけられる。コミュニティが特定アプリのアルゴリズムに左右されにくくなる。こうした体験が、Open Social の分かりやすい価値です。
注意点:相互接続には管理も必要
相互接続は便利ですが、課題もあります。スパム、なりすまし、荒らし、誤情報、モデレーション方針の違いは、プラットフォームをまたいだSNSでより複雑になります。Social Web Foundation も、Fediverse の成長には、ユーザー体験、プライバシー、安全性、エージェンシーへの取り組みが必要だと説明しています。
企業やメディアは、Open Social を「無料で拡散できる場所」とだけ見ない方がよいでしょう。コメント管理、なりすまし対策、ブランド公式アカウントの認証、投稿ポリシー、返信ルールを整える必要があります。
まとめ
Fediverse と Open Social は、SNSを“囲い込み型プラットフォーム”から“相互接続されるソーシャルWeb”へ変えつつあります。ブランド、クリエイター、メディアは、1つのSNSだけで伸ばす発想から、複数の場所で発見され、共有され、会話される発信設計へ移る必要があります。
これからのSNS戦略では、フォロワー数だけでなく、Audience portability、Cross-platform reach、Community ownership、Trust & safety、Content workflow が重要になります。Open Social は、発信者がアルゴリズムだけに依存せず、より直接的にコミュニティとつながるための新しい選択肢になっていくでしょう。






