日本のテラドローン株式会社は、サウジアラビアの国営石油会社アラムコ(Aramco)と、ドローン、ロボティクス、AIを活用したソリューションの開発に関する戦略的提携を目的とした覚書(MoU)を締結したと発表しました。
このMoUは、石油・ガス分野における安全性と運用効率を向上させるドローン技術の進展を目指すもので、研究開発、技術の試験導入、トレーニング、人材育成など幅広い分野での協力を促進する基盤となります。
テラドローンの創業者兼CEOである徳重徹氏は次のように述べています。
「このMoUは、イノベーションの推進と、アラムコのビジョンに沿った現地化支援への我々のコミットメントを示すものです。グループ会社であるテラドローン・アラビアを通じて、安全性と効率性を高める最先端のドローン技術を導入すると同時に、現地の人材育成にも貢献してまいります。」
現地化と技術革新への取り組み
テラドローンは2023年にアラムコのベンチャー部門であるWa’ed Venturesから出資を受け、先進的なドローン技術の現地化を推進。これにより、サウジアラビアにテラドローン・アラビアを設立し、短期的にはサービスの提供、長期的には現地での研究開発と生産施設の設立を目指しています。
同社の中東・アフリカ地域における拠点となるテラドローン・アラビアは、土地測量、水深測量(バシメトリー)、データ処理などのサービスを提供しています。
グローバルでの実績と技術拡張
東京に本社を置くテラドローンは、これまでに世界中で3,000件以上のプロジェクトを完了しており、測量、点検、農業、UAS交通管理(UTM)など多岐にわたる分野で実績があります。特に石油・ガス、建設、化学、エネルギー、農業分野で強みを持ちます。
2023年7月には、世界8カ国以上で導入されているUTMプラットフォームの大手プロバイダーUnifly社の株式を取得し、2024年2月には米国のAloft Technologiesへの出資も行うなど、UTM技術の強化を続けています。
アラムコのAI戦略と産業変革
一方、アラムコもAI分野への投資を加速させています。アラムコの社長兼CEOであるアミン・ナセル氏は、同社がAI技術を大規模に導入しており、「業務全体で効率性と価値創出を実現している」と述べています。
また、アラムコの技術・イノベーション担当エグゼクティブVPであるアハマド・アル・コワイター氏は、「生成AIや産業IoTなどの新技術は、私たちの業務スタイルと商業環境を変革する可能性がある」と語っています。
「アラムコは、これらの新興技術を産業レベルで導入し、オペレーションに大きな価値を加えることに注力しています。私たちの革新の歴史が、新技術を活用し、サウジアラビアのAIグローバルリーダー化を後押しします。」